ページ18 モミジ祭り

穏やかに晴れた秋の祝日、薬王寺でモミジ祭りが開催されました。
午前10時、薬王寺に行くと、車がたくさん止まっています。
モミジ祭りのメインは野だてです。
モミジの下にお茶をたてる場所が設けられています。
モミジもこの日を待っていたかのように色づきました。
着物姿の女性とモミジ。
実によき風情です。

モミジを愛でながら、私もお茶をいただきました。
お茶の香りと味が心を満たしてくれます。
贅沢なひとときです。

「モミジを眺めながらお茶をいただいてください」
山門のそばでは住職さんが皆さんに声をかけています。
お茶はモミジを見に来た人に振舞われているのです。
住職さんのおもてなしに皆さん驚きながら感謝しています。

午前11時頃、どこからともなくオカリナの音色が聴こえてきました。
その音色をたどると、本堂の中で女性がこっそりと吹いていました。
「ここで吹いてみたかった」
その音色の優しさに包まれ、モミジも微笑んでいるように見えます。

午後3時を過ぎても人が次々とやってきます。
私たちもそろそろモミジ灯りの準備に取り掛からなければなりません。
あとは暗くなるのを待つだけです。

辺りが暗くなった午後4時30分、モミジ灯り点灯です。
いっせいにモミジが照らされます。
夜空を借景に鮮やかな姿が浮かびあがります。
そして、その下に並べられたモミジ灯りに火がともります。
ロウソクの灯りにモミジが照らされます。
「きれいですね」
見に来た人たちから声がかかりました。
地面に並んだ灯りは、やすらぎとモミジへの感謝の灯り。
この思いをうまく表現できました。