プロローグ みんなが主役のまちづくり

まちづくりって何でしょう。

まちづくりという言葉を聞くと、「地域の活性化」とか、「行政の仕事」と思われる方も多いのではないでしょうか。

果たしてそうでしょうか・・・

もともと日本は、地域の人たちのつながりがしっかりとしている国でした。
江戸時代の頃は、住民が自分たちでルールをつくり、地域での生活を営んでいました。
もちろん、江戸時代にまちづくりという言葉はありません。
みんなが協力して住みよいまちをつくっていたのです。

明治・大正時代になると近代化が進み、特に昭和30年代以降、日本は目覚しい発展を遂げると、都市に人が集中したり、核家族が増えたりして、地域のつながりが弱くなり始めました。
やがて、地域内で住民同士がおこなっていた作業も、行政が担うようになっていきます。
行政は住民サービスという名のもとに、さまざまな事業に取り組みますが、徐々に財政状況が悪化し、多様な市民の要望にこたえることができなくなってしまいました。

このようななか、あちらこちらから「自分たちの手でまちをよくしよう」と立ち上がった人たちが現れ始めました。
ボランティア活動に取り組む人たちです。
この動きは瞬く間に大きくなり、今では日本各地でたくさんの人たちがボランティア活動に取り組んでいます。
また最近では、NPO(非営利組織)法人に登録するボランティア団体も多くなり、その活動はますます活発になっています。

繰り返しになりますが、もともと日本はみんなで協力してまちをつくってきたのです。
ということは、まちづくりはとても身近で誰にでもできるものだったのです。

「行政が自分たちのために何をしてくれるのか」ではなく「自分たちがまちのために何ができるのか」
そして「みんなで住みよいまちにするためにみんなの手が必要」
このように考えてみたらどうでしょう。

まちづくりというと難しい感じがしますが、「みんなの手で住みよいまちをつくる」と考えれば、なんとなく楽しく、そして易しく思えるのではないでしょうか。